駒津の記録

僕の考えていたことや経験したことを書きます 

四十九日禁煙

三日程前に訃報が届いた

高円寺の高架下で働いていた時の常連さんが亡くなったらしい

そのおじいさんは、週に3-4日、あんずという可愛い小さな犬を連れてきて、来る度にバイトと店長に2-3杯くれて、慎ましくて、なので僕たちもお店に来てくれる度に小さなつまみとあんず用に茹でた魚をあげたりして、いつも一緒に飲んでいた。

2年前ほどから身体を悪くして、暫く音信不通になっていたが一時期回復して手押し車に頼りながらもまた通ってくれていた

高円寺店が閉まってからも僕は近くのお店を手伝ったり、そのおじいさんの家の手伝いをすることがあったりで個人的には繋がりがあった

家の机には無数の精力剤が転がっていたのを覚えている

まあそんな紹介をしてももう亡くなってしまったし、じゃあなんでこんな文章を書いているのかというと、当時働いていたとき、一つ言われた言葉をよく覚えていたからだ

 

いつものように暇な店内で、一緒にお酒を飲んでいると「○○ちゃん、タバコなんてやめた方がいいヨ」と言われた

決して嫌みみたいな言い方でもないし、普段ひとになにかアドバイスだったり強制したりということもない人からの言葉だったのでよく覚えている

その言葉を、おじいさんが煙草を吸いながら言っていたことも覚えている

 

「そうですよね、こんなのさっさとやめちゃいたいです」

そう言いながら僕は煙草に火をつけていた

 

でも昨日訃報を聞いて当時の僕はその時

(あぁ、この人が亡くなったときに煙草をやめようかな)と思ったのを思い出して、でも到底やめられそうにはないから、せめて四十九日の間だけでも、自己満足だけど、生前の唯一のアドバイスということだし、禁煙しようかな、と思いました

そう思いながら僕は煙草に火をつけました