二人入り
「どうもー、【限界集落】です!」
『よろしくお願いしますー』
「最近○○恐怖症ってあるじゃないですか、先端恐怖症、とか集合体恐怖症とか」
『ウンよく聞くよねー』
「実は僕もある恐怖症があるんですよー」
『へーどんなのさ?俺聞いたことないよね』
「そうそう、まわりでもあまり聞かないから言わない方がいいのかなーってさ」
『良いじゃん言ってよ、俺もそれ知っといた方が色々気遣えるからさ』
「実は僕、死が怖くてですね!」
『予想以上に重いやつきちゃったよ』
「イヤーなかなかみんな言わないから、僕だけなのかなーって」
『多分まわりの人大体怖いと思ってるよ、信心深い人でも克服しづらいやつだよ、何なら俺も怖いわ』
「でも死ぬのってなんなんだろう、何でだろうとか考えると、そもそも僕たちって、生ってなんだろうなあって思うんですよ」
『それ以上深入りするのはやめよう?ちょっとここそういう場じゃないからさ』
「そうして毎日怯えながらやってきてたんですけど、この前なんとそれを解決することができたんですよ」
『え、なになに?それちょっと俺も気になるかも』
「家の近くの駅前を通りかかったときなんですけど」
『うんうん』
「駅前に二人女性がいてね」
『ハイハイ女性が』
「皆さん、悩んでないですか?って歌ってるんですよ」
『うん?』
「それで思わず僕その日家が空き巣にあっちゃってメンタルボロボロだから話しかけちゃって」
『いや先に警察行けよ』
「そしたら喫茶店で話すことになって、ありがたい花瓶を売って貰ったんです」
『やっぱりそうなる?家無いのに花瓶?』
「何も入ってないように見えるんだけど、毎日水をあげ続ければ芽が出てくるって」
『裸の王様状態じゃねーか』
「芽が出た頃には何も悩みは無くなってますよって」
『悩みどころか存在がなくなってるかもしれないけどな?』
「僕の形は無くなったとしても、確かに僕は存在してたんだからそれでいいんだよ、僕が笑顔にしてあげれた人がいるというだけで良いんだよ」
『急に格好いい事言うな!?お前本当に死、怖いの!?』
「それに俺、お前に会えたって事だけで、この人生最高だと思うぜ」
『お前………』
暗転